彼女のお父さんから結婚の許しが出たと知らせが届くと共に、式を急いでほしいとの連絡も入りました。当初は年内に式までとの先方の希望でしたが、仲人さんの都合や諸事情を考慮して、11月結納、翌5月結婚式と段取りが決まりました。
私はまだ、入局したてで研修医として修行の身でしたので、研修期間も終わらない内に、それも研修の真っ只中での結婚でしたので、教授をはじめ先輩方への報告は少し気が引けました。 医局員の結婚式では、仲人は教授にお願いすることが慣例となってます。その場合、新郎新婦当人の都合のみならず、常に多忙な教授の都合を優先させなければいけないことがあります。また、忙しい中、教授に手間をかけてしまいますので、それなりの配慮も必要となります。
しかし、私たちの場合、彼女のお父さんを説得していただくために、お願いしていた方が、結婚前からすでにおられましたので、引き続き仲人をしていただくこととなりました。 日取りが決まった後は、私の両親を含め周囲が話を進めてくれたので、当人はほとんど関与しなくても段取りは着々と決まっていきました。
結納に必要な道具なども全ていつのまにか揃えられていました。１１月の結納を収める日も、仲人が口上も含め全てやるので、横に座っているだけで良いと言われ、私は流し雛のように流れに身をまかせていました。
季節は半袖のケーシーに長袖の白衣が必要なころとなり、木々は夕日の色に染まった後、少しずつ枯れて落ち始めていました。
（つづく）

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